西暦2018年3月24日土曜日
旧暦2月8日 如月 春分
東京
今日はいよいよ、人生で初めてのお点前。
他のみなさんのお点前は10回以上、見させてもらっている。
自分もあのように格好良くお手間をするかと想像すると、ニヤけてくる。
よろしくお願いします。ぺこり。
で、あれ、何するんだっけ?
お辞儀?
それにしても、部屋に入りたいのだが、目の前のふすまは、どうやって開けるんだ?
あ、足は右から?左から?歩き方とかはあるのか?
どこに座るんだ?
はい、とりあえず座ったぞ。
で、何するんだ?
ヒシャクカマエテ
フタオキトッテ
ミッツメ
ヒシャク
・・・
・・
・
あー、だめだ、何ひとつ分からない。
先生に教えていただくがまま。
全てが呪文に聞こえる。
うう、足が痛くなってきた。
でもまだ始まったばかり。
・・・
・・
・
ヒシャク
ヒダリテ
フタ
チャキン
・・・
・・
・
だめだ、足が痛過ぎて、自分が何をやっているのか分からない。
気が遠くなって行く。
頭が真っ白になるって、こういうことを言うのか。
痛い。
涙が出そうだ。
・・・
・・
・
ようやく終わったようだ。
なるほど、ここで立ち上がるんだな。
それにしても、どれくらいの時間が経ったことだろう。
そしてその瞬間、激痛が襲ってきた。
その後しばらく、悶絶。
四つん這いになったまま、釜の前から離れられない。
散々な、お点前の初体験であった。
他の方のお点前の番になり、気を取り直して自分はお客さん役。
ふー、やっぱり美味しいお菓子を食べながら、点てていただくお茶を飲む方が気楽で良いものだ。
ふと床を見上げると、そこには「無心」の2文字。
自分の心の中の騒がしさを見透かされ、戒められているように感じる。
そして目を落とすと、あれ、花瓶はあるけれど、花が入っていない。
先生に聞くと、「今日、ここに来るまでに桜が咲いているのを見たかい?綺麗だったね。」
「はい、綺麗でした。」
「ふっふっふ。」
「花見より 帰りの人に 茶の湯せば 花鳥の絵をも 花も置きまじ」
利休百首のひとつ。
本物の花を見た時の感動を邪魔してしまわないように。
お茶のもてなしとは、すごい世界だ。